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Hitachi

Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO

講演2

10月28日(金)13:00-14:00

マルチステージ型人生をアップグレードしながら
働き方、生き方の多様性を探求

未来の働き方と組織
〜長寿社会に向けて〜

ロンドン・ビジネススクール教授
リンダ グラットン

講演写真

講演の冒頭、グラットン氏は「未来について予期せずに学ぶことがあります」と言って、数年前にマサイ族が携帯電話を使っていたことに驚き、それを機に未来についての研究を始めたエピソードを披露。「未来について理解し、何が変わらず、何が変わるのかを理解することが重要です」と続けた。
次に、ダボス会議の討論会にスタンフォードの教授やMITの総長と並ぶパキスタンの少女の写真を見せ、スタンフォードの講義がオンライン化され、世界中の誰もが受講し、試験を受けられる様になったことを紹介。

「実は、この少女が一番の成績でした。テクノロジーを使い自分の潜在能力を示した好例です」(グラットン氏)。
一方で課題もあり、倉庫管理や資料分析など中間スキル層の仕事がAIやロボットに取って代わられており、仕事の空洞化が進んでいることを紹介。「人間は今後何をすれば良いのか、どの分野の職種が残るのか。米国の景気後退で失われた65%は中所得雇用でしたが、新たに創出されたのは50%の低所得雇用でした」と続け、複雑な問題解決能力、柔軟な適応能力、そしてコラボレーション能力が重要だと説きます。

講演写真
ロンドン・ビジネススクール教授 グラットン氏

講演写真
3世代の代表モデルを比較し長寿社会の課題を解説するグラットン氏

講演の後半は、長寿社会に向けた課題について解説。
「寿命は10年に2年のペースで延びていくと予測されていますが、長寿社会は老後の人生が長くなるのではなく、若い期間が延びるのだと考えるべきです。生き方にも色々な機会が見出されるのでは」と説き、1945年生まれのジャックと1971年生まれのジミー、そして1998年生まれのジェーンという3世代の代表モデルを比較しました。

ジャックは42年間働き、所得の4.3%を貯蓄。生涯所得の50%の年金で引退後の8年間を過ごしました。ジミーがジャックと同じく65歳で引退すると、少なく見積もっても引退後の人生は、20年間続くことになります。そして、生涯所得の50%の年金で暮らすには、所得の17.2%を貯蓄する必要があります。さらに、100歳生きるジェーンの場合は、同じく65歳で引退すると仮定すれば、引退後の人生は35年間にもなります。そして、生涯所得の50%の年金で暮らすには、所得の25%も貯蓄する必要があります。
「所得の25%も貯蓄することは不可能です。つまりジェーンは彼女の生き方を変えないといけないことを示唆しています。我々は大きな転換点にいます。それは働き方だけでなく、生き方の転換点にいます。そこで、皆さんに3つのアイデアを紹介します」と語り、「長く働くことのすすめ」「マルチステージ型人生への移行」「多様性の探求」を提案。

80歳まで働くとしたら、仕事を変え、仕事の仕方も変えなければならない。そして、スキルをアップグレードし続けなければならない。あるいは起業家になる選択肢もあります。さらに、マルチステージ型人生における「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」という新たな選択肢を提案。
「一人ひとりが自分の人生について考えなければならない。皆が別々の道を歩み始めれば、政府や企業にとっては悪夢かもしれない。しかし、人にとっては素晴らしいことです。そのことを企業は、認識する必要があります。そうすれば、職場での多様性も増加します」と訴えました。
「若い皆さんは80歳まで働き、その間、家族を養うだけの収入をずっと得る必要があります。しかも、技術革新が進み続ける時代においてです。私が若い日本人男性でしたら、恐れおののき、一緒に働いてくれる女性をすぐに探すでしょう。一方で、子育てに男性も平等に参加すべきです」と説き、「高齢の労働者が増え特別な役割を果たす様になる。そして、シーソー型のカップルが増えると思います」と続けました。

最後に「長寿化は、我々と子供達の人生をより良くする力を持っています。マイナスの道ではなくプラスの道を歩むには、まず変革の道を歩んでいることを受け入れることです。そして、生き方を変え、ライフスタイルの実験を続けることが重要。企業は社員との関係を改め、社員が望む働き方を模索し、政府も政策を転換し、労働者と企業にとって、より良い政策を打ち出していくことが重要です」と主張し講演を終えました。